担任に聞いたのか。
担任ってそんなにペラペラ個人情報言っていいものなの?
ゆっくりと足を動かしながら、不在着信の並んだ画面をじっと見つめていると、携帯が振動して着信を知らせた。
「また…?」
今学校向かってるってば。
小さく悪態を吐きながら仕方なく受信ボタンを押す。
「な、」
「岬?!?岬か?!?!!なあ、岬だよな?今日来んのか?!つか今どこ?迎えにいくから!」
こんなにも電話を切りたくなったのは初めてだった。
一般的に耳元で聞くだろう電話でこんなでかい声を出すとは、金色は頭だけでなく脳みそもやられてるらしい。
「うるさい、来なくていい、いく」
「まじ?!!?!今どこだよ!!!もう着くのか?つーか1限目から出るのかよ!どうしたんだよ岬!なあ!」
うるさい。耳元から離してるのにうるさいって何事だ。
「うるさい」
「すずちゃんに報告してくるわ!待ってるからな!!!あ、教科書俺ねえけど!机くっつけような!」
「いらない」
すずちゃんって誰?と聞こうとしてやめた。
聞いてもすぐに忘れるだろうと思ったから。
一瞬相手が黙った隙をついて電話を切った。