置いていかれたケーキなんていらない。
私はそんなもの見たくない。
ぺちゃんこのカバンにケーキの箱ごとつっこんで、家を出た。
学校はここから徒歩20分のところにある。
毎朝2時間かけて毎日行ってる人もいるのに、20分ですら行くのが面倒くさいなんて思う私は終わってるのかもしれない。
高校を卒業したら母が残したお金で静かに生きていくんだろうか。おっさんを馬鹿にできないほど私もクズだったらしい。
不倫とニート。
どっちの方がクズなんだろう。
言わずもがな世間的にニートなのは分かってはいるけど。
切りっぱなしだった携帯の電源をつけて見てみると、不在着信が何件も来ていた。
ぎょっとして思わず足を止める。
全部隣の席の金色と担任からだった。
担任には固定電話がないと言うと携帯番号を教えるように言われた。
だから、納得できる。
それでも、納得出来ないことがどうしてもある。金色に携帯番号を教えた覚えがない。
教えて、と言われた記憶はあるがすべて断っていたはずだ。