おっさんが誕生日の朝に帰ったあと、私は2日ぶりに制服に袖を通していた。
と言っても3日前は溜まったプリントを放課後に取りに行っただけだったけれど。


普通に準備をすれば1限目の予鈴に間に合うだろう。1限目から授業を受けるなんていつぶりだろうか。

学校に来い!とうるさい隣の席の男の顔が浮かんだ。

アイツ、どんな顔するかな。間抜けな顔で私をみるかな。



それならたまには1限目から出てもいいかもしれないな。

少し癖のある自分の髪の毛を直しながら、そんなことを思う。

真っ直ぐになった髪の毛に櫛を通して、生気のない顔にほんの少し色味をたして、空っぽのカバンを手に取った。

教科書は全部学校に置きっぱなしだ。
綺麗なままのローファーを履いて、ため息をついた。