ミチルは初めて、俺の家に来たから、場所はわからないはずだ。

そのため、声をかけた。

「あ、ここオレん家」

「アレ?父さんの車がある。」

家庭の事情は複雑だが、

今日は母さんがいないから、父さんも暴れないだろうし、

そういうときはたいてい、

部屋に籠って仕事をしているだろうから、

たいして問題でもないなと思った。

「え?私がいても大丈夫なの?」

ミチルが気を遣ってくれたが、

下校中ミチルとどんな話をしたかも思い出せず、

ミチルはつまらなかったかもしれないなぁ~と思い、

せめてもの贖罪で、ミチルにいつもの軽い調子で声をかけてみた。

「う~ん、まぁ大丈夫っしょ。

あっ、でもどうする?一応彼女ってことにしとくか?」