俺は、人混みの歩道の中で、沙羅を探していた。
「ったく！」
俺は、沙羅が言った言葉が気になり、沙羅をほっとく事が出来なかった。
歩道は人が多く、前に進む事が困難だった、俺は車道に出て走って前に進んだ。
《ごめん！セラ！待っててくれ！》
海沿いを走り、駅前の信号まで辿り着いたが、沙羅の姿は、どこにも無かった。
「どこに行った！？」
俺は、息を切らしながら海沿いを捜し回った。
「はぁー！はぁー！ったく！……もしかして！あいつ！！」
俺は、自分の家に向かって走りだした。
(ドッーン！ドッーン！)
踏み切りを過ぎた時、大きな音と共に花火が夜空に舞い上がっていた。
「はぁー！はぁー！…セラ、ごめん！」
俺は、長い坂道を走りだした。

――夜空を見上げると、赤と緑色の大きな花火が上がっている。
「心…」
私は、花火を見つめた。
「セラ、一緒に観よう」
私の左手を握り、直君は、言った。
「やめて！」
「セラ！」
私は、直君の手を振りはらい、店の中に入った。
「セラ！？心君まだ来ないの？！」
椅子に座った私の横に、おばちゃんが、寄り添うように座った。
「うん…まだ」
《心…どうしたの？何かあったの？》