俺は空になった空き缶を誠に向かって投げた。
「…」
誠は、黙って空き缶を拾い床に座った。
「おい?誠どうした?…」
「…心は良いよな、お前は黙っていても女が寄ってくるから、でもよ!俺は!俺は…」
「あーあー!分かったよ!酒買ってくるよ!待ってろ!」
「あっ!そうか!?悪いなぁー!心!」
「ったくっ!」
今さっきまで肩を落としていた誠は、ケロッとして俺に笑顔を見せた。
俺は、家を出て坂道を下りコンビニへと向かった。

――私は、義足をとりガーゼを取った。
「足を出して、スカート穿きたいな…」
丸くなった右足を私は、擦りながら、私は足に向かって呟いた。
「…心、ごめんね」
ベッドに寝っ転がると、部屋の窓には、月が輝いていた。
私は、月を見ながら罪悪感を感じていた。

――玄関のノブを触ろうとした時だった。
(あはははは!)
(まじぃー!)
俺の部屋から、誠の声に混ざって女の声がした。
《!?》
俺は、静かに玄関を開けた。
《女のサンダル!…》
部屋に入ると、ベッドの上に、胡坐をかいて沙羅はビールを片手に座っていた。
「おい!!」
「あっ!心ー!」
「心!お帰り!沙羅が突然…」
「帰れ!!」