私の心の中は、幸せでいっぱいだった。
「あっ!電話番号聞くの忘れちゃった…」
私は、家の門に手を掛け坂道を振り返った。
「今から戻れば…」
私は、門から手を放し歩きだした。
「セラ!」
後ろを振り向くと、直君が立っていた。
「直君…」
――俺は、煙草に火を点け公園に入った。
「心!」
公園の隅に有る街灯の下に沙羅が、立っていた。
「沙羅!何で?!」
「心!何処に居たの?誰と居たの?!」
「お前には関係ない!」
俺は、煙草を捨て歩きだした。
「関係ある!だって!私は心の事が好きで!忘れる事なんか出来なくて!ここまで来た!心に逢いに来た!」
沙羅は、俺に縋るように着いてきた。
「やめろ!放せ!」
「嫌!心をずっと見てきたのは私よ!他の誰かを好きになるなんて!嫌よ!」
「俺は、お前に恋愛感情なんてないんだ!俺を好きになるなんて時間の無駄だ!他にもっと好い奴が居る!」
「嫌!こんなに誰かを愛せるのは心以外居ないもの!」
「…」
俺は、沙羅を振りはらい歩きだした。

――「セラ、ちょっと話せないか」
「…うん」
直君は、ちょっといつもと不意気が違っていた。
何だか重い空気が流れている。