「おい、沙羅やめろ」
直は沙羅に叩かれたまま、沙羅を見て口を開けていた。
「だってこの人面白いんだもん!」
「いいから!もう、お前は帰れ!」
「しつこいなぁー、私は帰る場所が無いの!だから心の家に泊めて!ねっ!お願い!」
沙羅は、体をクネクネさせながら鼻に両手を合わせ言った。
「さっきから言ってるだろ!無理だ!俺は、これから用事が!…」
横を向くと、直が不気味な微笑みで、俺を見ていた。
「何だよ!?」
「君達は、どうゆう関係なのかな?!」
「どうゆうって、別に!…」
「ちょっと?見て分かんないの!?私は、心が好きで!心も私を!…」
「やめろ!!俺は、お前の事は何とも思っちゃいねぇーし!俺には好きな女が居るんだ!迷惑だ!」
俺は、この面倒なやり取りにイライラして言ってしまった。
《はっ!?しまった…》
沙羅は、呆然としていた。
「心君、彼女が可哀相じゃ…」
「うるせぇー!あんたには関係ない!じゃーな!!」
俺は、そう言って、この間に何度、青になったか分からない信号を渡りセラの元に急いだ。
その後の事は、俺は何も考えずに、沙羅と直…二人を残してしまった。


――《心さん……心…》