「はぁー…」
沙羅が、俺にまとわり付く様になったのは、同じ施設内の男達が、沙羅に乱暴をしようとして居る所を俺が、通りかかり助けてやったのが始まりだった、その頃から、沙羅が俺に気があるのは薄々知っていたが、俺には沙羅に対して何の感情も無い。


――朝雨が、降っていたが、お昼前には晴天になり店を閉めるまで、お客さんの足が止まることは無かった。
「お疲れ!セラ!」
テーブルの上を片付けていると、おばちゃんが声をかけてきた。
「お疲れさま…」
「疲れた?」
「ううん、平気…」
「セラ、お父…」
「セラ!」
「はい!?」
キッチンから、おじちゃんがエプロンを外しながら、出てきた、おばちゃんは何かを言い掛け言葉をのんだ。
「今日、会わせてくれないか?…セラの好きになった相手を…」
《えっ!》
「あっの…」
「どうした?何か都合でも悪いか?」
「ううん、平気!」
「そっか!なら、家に呼びなさい」
おじちゃんは、いつもと変わらない優しい笑顔で笑った。
「うん」
《心さんに、なんて言えば…付き合い初めで急に、おじちゃん達に会ってくれなんて言えないよ…嫌がるよ…直君の事が、話に出てきたら!?…》