「…はい」
直君が帰った後、長い沈黙が流れた。
「おじちゃん…」
「セラ…好きな人が居ると言ってたな」
「はい」
「会わせて欲しい…セラが好きになった相手を…人柄をみたい」
おじちゃんは、真直ぐ私の目を見て言った。
「はい」

――部屋に入ると、誠はベッドの上で上半身裸で寝ていた…テーブルの上には缶ビールが散乱していた。
(ドン!)
「いってぇー」
俺は、誠を蹴飛ばした。
「起きろ!」
「何すんだよー」
誠は、尻を擦りながら起き上がった。
「勝手に来て勝手に酔っ払って部屋を散らかすな、片付けろ!」
「お前、待ってたけど中々帰って来ねーから、一人で飲んでたら…一本が二本、二本が三本って…」
「ゴダゴダ言ってねぇーで片付けろ!」
俺は、ゴミ袋を誠に向かって投げた。
「何だよ…」
俺は、片付けている誠を尻目に喉をならしながら、ビールを呷いだ。
「あっ!そう言えば、公園でセラに会ったぞ!?」
「…」
「俺が、心の家に行くから来ないかって言ったら、遠慮して来なかったよ!」
「…」
「セラと会わなかったか?!」
「あぁ……セラと会った…」
「会ったのか!?」
俺は、ビール缶を片手で潰し誠に投げた。