「あっ!俺、これから心の家に行くけど…行く?!」
「いいえ!家に行くなんて図々しいです…誠さん…」
「ん?」
「私、誠さんの言葉で元気が出ました!本当に有難うございます!」
私は、誠さんに頭を下げた。
「うん、そっかぁ!なら良かったよ!また冷し中華食いに行くからさぁ!んじゃー!」
「はい!いつでも来てください!お待ちしてます!」
私は、誠さんの後ろ姿に、もう一度頭を下げた。
公園を出て海沿いの道を歩き、オレンジ色に染まった海を横に私は防波堤に向かって歩いていた。


――俺は、防波堤に来ていた…夕日が半分、山に隠れてきた。
「…生きる為に足を…」
俺は、雨の日の事を思い出していた。
セラの言葉、温もり、涙、強さ……。
《…素直になれたら》
俺は、夕日を見ながら煙草に火を点けた。


――防波堤の場所に着くと、もう空には夕日が消えていた。
波消しブロックに静かに波が叩いていた。
防波堤に座り私は、大きく息を吸った。
「すぅー…はぁー、よし!…もう自分に嘘を付くのはやめよう!素直に!…私は…私は、心さんを好きになった!この気持ちを伝えたい…恋で泣くのは馴れてる平気よ…大丈夫よ…」