「えっ?隣?…」
「あぁ!俺の隣に!」
直君が、私に対する気持ちに、気付いてしまった。
「直君…あのね…」
「セラ!」
《あっ!》
直君は、私を強く抱き締めた…。
「直君、離して!」
「セラ!もう少しこのまま…今直ぐ、返事をくれとは、言わない!だから、もう少しこのまま…」
私の体から力が、抜けた…直君の力強い腕の中で私は、目を閉じた。
《…この腕の中には、私への強い想いを感じられる…私は、この胸と…この腕で、幸せになれる?…直君は、私の全てを知って受け入れてくれている…これが、私に、とって幸せになる道…》
「直君…私…」
《あっ!!》
直君の腕の中で目を開けると、街灯の下に、心さんの姿があった。
「心さん!」
私は、直君の腕から離れた。
「セラ?」
直君は、私の目線の先を見た。
「心さん…」
「心…?」
心さんは、私と直君を見ていた。
「心って、いつかセラを助けてくれた人か?」
「…」
私は、頷いて答えた。
「あの人が…」

――俺は、セラを睨んでいた。
体中が熱くなるのが分かった…俺は、セラの方向に唾を吐き、煙草に火を点け、セラに背を向け歩きだした。
「バカだな…俺…」