風が小屋の扉をカタカタと叩いていた。
雨は小さな窓を叩き、雷は小屋の真上で鳴っているようだった。
「寒いか?」
セラは、俺の腕の中で震えていた。
「平気です」
俺はセラを離し、小屋の中を見渡した。
「これでも、掛けてろ」
古びた大きな布を、俺はセラに掛けた。
「すみません…」
心さんは、小窓から外を眺めていた。
静かな沈黙が流れる。
「あの…」
「ん?」
心さんは、外を見たまま返事をした。
「さっきの話し…男の人と現場に来たって…」
「あぁ…」
「近所の、お兄さんで心さんに助けてもらったと言ったら、お礼を言いに行こうって事になって…だから付き合ってるとか、そんなことでは無く…」
「別に、俺には関係ないから話さなくていい」
《心さん…私は…》
「もう、そろそろ止みそうだな…」
俺は、セラが言った言葉を聞いて、どこかで安心した俺がいた…。
「心さん、防波堤には、よく来るんですか?」
私は心さんの背中に向って言った。
「あぁ…あそこで寝るのが好きで…自分が悶悶としている時つい足が、ここの場所に向ってる…」
「悶悶と…私も、来るんです…私は嬉しい時、辛い時、仕事で嫌な事があった時…」