俺はスボンの上から膝を触った…。
「膝に何か巻いてるのか?」
セラは強く目を閉じ黙っていた。
(ゴロゴロゴロ…)
外で雷の音が鳴り始めた。
「…ベルト」
「ベルト?」
俺はセラの横顔を見た。
「私の右足の膝の部分に、ベルトがあるんです…」
「何で?…ベルトしてるんだ?この金具は…」
私は自分から右足のズボンを、ゆっくり上に上げた。
セラがズボンを上げた…俺は、それを見ていた…白い靴下が膝下の部分まで履いてある…セラの手が止まった。
「私の足…」
心さんに義足に靴下を履かせた足を見せていたが、心さんはまだ、偽物の足だと気付いては居ないようだった。
「私の足は…」
《心さんに、全てを見せたら…》
「どうした?」
俺は下を向いているセラの顔を覗き込んだ。
《涙…なぜ?泣いているんだ…》
俺は、左手でセラの右頬に流れる涙を拭った。
《心さん…》
「泣くな…」
心さんは、そう言って私を抱きしめた。
《心さん…私は、あなたに恋してます…あなたに、私の全てを見せたら…見せたら心さん、あなたは私の前から消えてしまいますか?…》
俺はセラを抱きしめて居る時、自分の心が安らぐのを感じた、こんな気持ち……。