振り向くとセラは右膝に手をあてていた。
「どうした!?」
「大丈夫です!」
私は心さんの顔を見て言った、…全然大丈夫では無かった、切断した足に包帯を巻いているのが雨に濡れ義足のベルトが緩みだし、金具が足にチクチクと刺さっていた。
「膝痛めたか?!歩けるか?!」
「大丈夫です…」
セラの表情には余裕が無かった。
「乗れ!」
俺は中腰になりセラに背を向けた。
《負んぶ?!》
「平気です!歩けますから!」
私は一歩下がった。
「いいから!早く!」
「平気です!」
心さんは全身が、びしょ濡れだった。
俺は立ち上がりセラの顔を見た。
「行こう…」
俺は手を出した。
「はい」
私は心さんが、差し出した手を握り締めた。
追い風と大粒の雨に背中を打たれながら俺達は走りだした。
「あの!?」
「何だ?!」
「この先に小屋が有ります!!」
「小屋!?」
「はい!!」
「行こう!」
私は右膝の痛みを堪えながら走った。
俺は前方の視界が悪かったがセラが言う小屋を捜しながら前に進んだ。
(ズキッン!!)
「痛い!」
私はスボンの上からベルトの金具を触った。
「おい!どこが痛い!?」
心さんは右膝に手を伸ばした。