(ブーッ…ブーッ…ブーッ…)
「何だよ?この音?」
「あっ!俺の携帯だ!」
誠はズボンのポケットから、重そうな携帯を取り出した。
「携帯持ち歩いてんのかよ?!」
(ブーッ…ブーッ)
「当たり前だろ!…あっ切れちった」
「俺は、持ち歩けねぇー」「何の為に、心は携帯買ったの?意味ねぇーよ」
「家電専用だよ」
「変わってるよ、心は!…あっ!店長からだ!」
誠は、重い携帯を持って仕事場に電話をした。

「はぁー、わりぃー!店長に呼ばれた!店番頼むって」
「いいよ、行けよ!頑張ってな」
誠は両手を合わせ頭を下げた。
「ごめんな!心も帰るか?」
「うーん…、その辺ブラブラして帰る」
「そっか!悪いな!んじゃー!」
「おう…」
誠は砂浜を駆け足で帰った。
一人になった俺は、海から離れて静かな防波堤に向った…。

――「セラ、休憩しておいで!」
おばちゃんはレジを打ちながら言った。
「うん…そうだね、今日は素直に休憩しちゃおうかな?!」
「平気よ、お客さん少ないし!いってらっしゃい!」
「うん!」
「お父さんから、お弁当、貰ってね!」
「はーい!」

――私は、おじちゃんが作ったお弁当を持って店を出た。