「い、いらっしゃいませ!」
《深呼吸したのに、声が裏返っちゃったよ!恥ずかしいよ!》
「こんちは!この前食った冷し中華旨くて、また来ちゃったよ!」
「あっ!有難うございます!」
心さんの友達は、気さくに話をかけてくれた。
心さんは…店から見える海を眺めて私の方を見てくれない。
「では、ご注文は冷し中華で?」
「うん、俺は冷し中華でいいよ!」
私は心さんを見た。
「心さん…ご注文は?」
「…」
「心さん?…」
《あっ!》
私は口元に手をあてた。
心さんの友達は、にやけながら心さんと私を見た。
「あれー…君達二人は、仲良しになったの?」
心さんは、水を一口飲み言った。
「…違う」
「だって、心の事【心さん】って言ってるじゃん!?隠すなよ!仲良しになったんだろ?」
心さんの友達は、心さんの顔を覗き込むように見て、ちゃかす様に言った。
「違うんです!前に来た時に、名前を覚えてて…それで!…」
私は咄嗟に嘘をついた…バカだ…。