「…………」
穏やかな海は、時間が経つにつれて、波が大きくなっていった。
「風も出てきた…そろそろ帰ろう」
「…嫌…もう少し、あと10分だけ…」
そう言ってセラは、セイラの傍で、オルゴールの蓋を開いた。
「…セイラ、今日ここで私と心と三人で見た海を忘れないでね…」
「…………」
「…寂しくなったら…ここへ来て…この海と青空を見て…」
「…………」
セラの言葉は、俺にも伝えているようだった。
「あっ…」
セラは、突然空を見上げた。
「どうした?…」
「シャボン玉…見て!ほら!」
セラは、空に向かって指をさした。
「………本当だ…」
セラが、見つけたシャボン玉は、俺達の真上をフアフアと風にのって、空高く飛んでいった。
「何でシャボン玉が…」
俺は、辺りを見渡した。
「…………」
周りには、遊んでいる子どもは、一人も居なく浜辺で犬を連れている人しか、居なかった。
「…どこから飛んで来たのかな…」
セラは、七色に色を出すシャボン玉を見つめながら言った。