(カチャッ)
「…あっ…えーっと……この声…今話しているのは、セイラ…貴女を生んだ、お母さん、セラよ…セイラに何を残せるか、いろいろ考えたけど…分からなくて、カセットテープに声を残すことにしたの…まぬけよね…ごめんね、…私は、病気になって……病名は、骨肉腫…足を無くしたわ……足を無くしてから、恋をした、だけど足が無いってだけで…好きになった人は、私の前から消えていった……だけどね、それは正直な事のように思えるの、同情で私と居られるのは嫌だから、セイラも恋をして傷つくことも有るかもしれないけど、最後には…きっといい恋を見つけられるから…その証拠が、私よ……私は、心…貴女のお父さんと出逢った…心は、私の無くなった足に……口付けてくれた……こんな……私を愛……してくれた……私の最後の……願いも聞いてくれた……セイラと心の傍に居させてくれる事を……」

「ただいま」

≪!!≫

私は、扉の先で心の声を聞き、カセットテープを止めた。

「セラ」

部屋の扉を開くと、セラはセイラを抱いていた。

「あっ、お帰りなさい」


「ただいま、セイラただいま…」

俺は、二人をそっと抱きしめた。