「………」

松村先生は、心の言葉を聞いて、ボロボロと涙を流した。

「……頼むよ!!頼むよ先生!!…セラを…セラを助けてくれ!!…頼むよ…」

「………」

心は、膝から崩れ床に体を倒した。

「…心…」
私は、震える心の背中を抱きしめた。
「…セラ」
「……先生…」
涙を拭きながら松村先生は、私を見た。
「……セラちゃん」
「…私は、病院のベッドでは、死にたくない…だから、治療は…しない……」

「セラ!!」
「聞いて、心……治療すれば少しの間は、生きていられるかもしれない…だけど、それはベッドの上で……心とセイラに何も思い出が残せない…私が死んで、セイラが大人になった時、"貴女には私と言う母親が居たのよ"って思い出を残して置きたいの、だから…」

「俺を一人にしないでくれ!!」
「…心…」
心は、力強く震えながら、私を抱きしめた。







俺は、セラの望んだことを……受けとめた。




≪ありがとう…心…≫





――「セラの調子は、どうだ…」

誠は、煙草に火をつけ言った。

「…今のところは…」

俺は、煙草の火を消し立ち上がった。

「帰るのか」

「あぁ…」