水族館に着くと、家族…恋人の笑顔がいっぱいだった。
「…セイラおいで」
心は、大きな手でセイラを抱いた。
「…………」



心は、口数が少なく少し微笑みながら、セイラにイルカを見せていた。
「セイラ…一年後、五年後、十年後も、また三人で来ような…」
≪…心…≫
「…………」
「……セラ…」
「ん……」
私は、横顔の心を見た。

「…俺、やっぱり駄目だ…」
「………」
「……お前をこのまま…失うことになるかもしれないこと…」
「心、それは…」
「聞いてくれ!……何もしないで居ることが嫌なんだ…もしかしたら、松村先生直が、何かいい治療を見つけてくれるかもしれないのに何にもせずに、このままセラと居ることが辛い……」
≪…!!≫
ポツンと、セイラの頬に心の涙が落ちた。
「…心……」
私は、心とセイラの手を握った。
「…お願いだ…セラ…生きてくれ…」
「…………」
セラは、涙をポロポロと流しながら、何回も頷いた。

「…ありがとう、セラ……」





俺は、隣に座っているセラの手を握っていた。

松村先生を待つ時間が、不安で気持ちが、押し潰されそうだった。

「…大丈夫だ…」
「うん…」