一つの街灯が、防波堤を照らしていた。
セラは、俺の肩に頭を預け大きく息を吸った。
「……気持ちいい…」
「あぁ…」
静かな波音は、俺達にゆっくりと時間を与えているように、感じた。
「……ここで私達、始まったんだよね…」
「あぁ…初めて一人の女性を愛していると感じた…あの浜辺でセラに逢っていなければ、俺は一生愛する事も知らずにいた…」
「…心だけだった、私の足を見て私を知って受け入れてくれたのは…」
「セラが、どんな姿でも愛した」
「ありがとう……心」
俺の腕にセラの涙が流れた。
≪セラ…≫
「もうすぐ、俺達が出会って一年になるな…あの暑い夏が、またやってくる今年は、セイラも…」
≪!?≫
セラは、俺の腕を強く握った。
「…セラ?」
「…私、いつまで生きられるの…」
≪!!≫
「…何言ってんだ!セラは、これからもずっと!…」
セラは、俺を真っ直ぐみつめた。
「…嘘は嫌だ…」
「……ごめん…」
心は、そう言って私を強く抱きしめた。
「…体にまだ……ん……細胞…が………」
心の声は、涙で言葉になっていなかった。
「そっか…」
自分でも驚くほど、冷静な私が居た、私は心の背中をさすった。