その夜、私は考えていた。
今私が、四六時中頭の中に居る人。
今私が心の中で想っている人…。
今私が一番に逢いたいと思っている人。
今私が……恋をしている相手は………心さん……。
この想いを心さんに伝えたい!。
…でも、無理な事…自分の中で想っているのは、構わないよね…。
直君は、恋愛だって結婚だって出来ると言ってくれたけど、それは無理な事!だって私を好きになってくれた人は、私の右足が無いと分かった途端に私の前から消えていった…。
骨肉腫だと分かり当時付き合ってた人も私が足を無くすと言った時の、あの顔…冷たい目で私を見た、ゴメンの一言で彼は帰り、次の日から連絡がとれなくなった……。
これから先、私は誰とも付き合う事も出来ないだろう…。
もう、恋愛で傷つくのは嫌だ…。
だから、この想いは私の心に閉まって置こう。
「月…隠れちゃった」
窓を開け外を観ると月は雲に隠されてしまった。
「痛っ!」
《右足…》
私はベルトを緩め義足を外し右足を擦った…たまに丸くなった足の先が痛む…
《右足さえあれば…五体満足の体なら…私は…恋愛できた…》

右足を眺めていると、自然と目から涙が零れ落ちる。