「……頑…張って……私も……頑……張る…から……」
「……セラ…」
俺の腕の中でセラは、涙をスーッと流し弱々しい声で言った。
「……名前…心……考えて…くれた…」
赤ちゃんの手を握りながらセラは俺に微笑んで言った。
「あぁ…決まっているよ…セラが気に入ってくれたらいいけど」
「…教えて……」
「……セイラだ……」
「…セイラ……」
セラは、微笑みながら大きく息をはいた。
「…………」
「…綺麗な…名前………セイラ……私が……貴女のママよ……よろしく…ね……早く元気に……なって……セイラ…を……抱き…しめた…い……」
「セラ」
セラの呼吸が乱れ苦しそうに顔を歪めた。
「病室に戻ろう」
俺は、セラを抱えたまま椅子から立ち上がった。
「…待っ…て……」
セラは、セイラの小さな小指に自分の小指を絡ませ指切りをした。
「…セラ…」
「…頑…張ろう…ね……」



セイラと約束を交わしたセラの顔は、優しい母親の顔だった。


この日からセラは二日間眠り続けた。


「心君!」
病室に入ろうとした俺に声をかけたのは、セラのお母さんだった。

「お母さん…」
俺は、病室のドアノブから手を放した。