「お願いします!!」

俺は、土下座をした床に額をくっ付け頼んだ。
「心君!!頭を上げるんだ!!」
「嫌です!!お願いします!!セラは…やっとセラが目を覚ましてくれた!これから先あいつが…セラが望む事は全て叶えてあげたいんです!!…お願いします!!」
「……分かった……」
「本当ですか!?」
「あぁ…でも5分だ、それ以上の時間はあげられない…」
松村先生の顔の表情は険しかった。
「…はい、ありがとうございます…」
病室に戻った俺は、ベッドの上で眠っているセラを抱き抱えた。
「……心…」
俺は、セラに微笑んだ。
「…行こう」
「…………」
セラは、ゆっくり目を閉じながら頷き俺の首に手を回した。
こんな近くで呼吸をしているセラを抱き抱えているのに……セラが遠くに感じた……。


「……セラ…」
「…………」
目を閉じたままセラは返事をしなかった。
「…セラ…俺達の赤ちゃんだ…」
俺は、セラの細い手を保育器の中に入れ、赤ちゃんの手の上にのせた。
「……………」
「…生きてるんだ…セラに…セラの腕に抱かれる為に…頑張ってる…だからセラも…」
≪!?≫
セラの瞼が、ゆっくりと開いた。