「……まれに……か……」
「…後で松村先生に詳しく聞いてみるから」
「…………」
そう言って直は俺の肩をポンっと叩き病室を出ていった。
「…………セラ…赤ちゃん元気だぞ…ミルクをいっぱい飲んで……セラと同じで…頑張ってる…早く三人で暮らしたい…セラの天使のような笑顔が見たい……」

俺は、セラの頭を撫でおでこに口づけをした。
「…仕事に行ってくる……早く帰ってくるから……」
握っていたセラの手を俺は、ゆっくりと放した。




――「…そっかぁ…まだ意識が戻らないのか…」
ため息混じりに誠が言った。
俺は、右手に持っているジュースを見つめ口を開いた。
「……病院に戻ったら先生に話を聞いてみる…」
「あぁ、そうだな…赤ん坊は?いいのか?」
「あぁ…体重も順調に増えてるからな…まだ保育器からは出れないが…」
俺は、カラになった缶を片手で潰した。
「……………」
「…じゃー、俺行くから…」
俺はコンビニのベンチから立ち上がり、潰した缶をゴミ箱に投げた。
「…心!!」
俺は振り返り誠を見た。

「ん?…」
「………」
誠は俺を見つめたまま、その場に立っていた。
「なんだよ?…どうし…」