俺は、セラの冷たい手を握り言った。
≪………!?≫
ピクっと小さくセラの指が動いたように感じた。
「……セラ?!」
俺は、セラの指を見てセラの顔を見た。
「セラ!…聞こえるか!?俺の声が聞こえるか!?」

「…………」
俺は強くセラの手を握り酸素マスクをしたセラの口元を見た。
「…セラ…」
「…………ちゃ……」
≪!?≫
「えっ!?なんだ!?」

俺は、酸素マスクに耳をあてた。
「……あ……ちゃ…ん…」

≪……!…赤ちゃん≫
俺はセラが一生懸命言った言葉を聞き取った。
「赤ちゃん!…赤ちゃんだな!…大丈夫だ!無事生まれた!」
目を開かないセラに向かって俺は言った。
「…よ………った…」
セラは俺の言葉を聞き、ゆっくりと微笑んだ。
「…あぁ…セラが一生懸命守った命……セラに似て可愛い女の子だ!………」

セラの顔を見ると今さっきまでの微笑みは消えていた。






――セラの手術から9日が過ぎた。
あれからセラは、目を覚まさなく……ずっと眠ったままだ。
「……セラは…このままなのか…」
「…術後ごくまれに…意識が戻らない患者も居るんだ」
直は、冷静にセラの顔を見て言った。