前に前に進んでも、真っ白な霧は消えない……。

「…誰か……」

私は立ち止まり疲れはて、その場に座った。
「…心…怖いよ…」
私は、膝を抱えた。
「…………一人ぼっち」
『……ちに……で……』

≪!?≫
「……誰?…」
今確かに、声が聞こえた。

私は立ち上がり辺りを見渡した。
「…けて…助けてください!」
私は震える声で叫んだ。

耳をすまし辺りを見渡した。
≪…誰か返事をして!≫


「……心………」
私の眼からは、涙が溢れこぼれ落ちた。
≪……!?≫
手に涙が落ちた時だった。

ショパン音色が私の耳に優しく聞こえてきた。
「…………」
私は立ち上がり、歩き始めた。
別れの曲に導かれ歩いていると、目の前に光が見えだした。
「……あっ…光……」
私は、光に向かって手を伸ばした。
【……この先に……】
『…ラ……だめ…だ……』

【……!?】
私は光に伸ばした手を下ろし後ろを振り向いた。
「……心?………」
振り向くと真っ白な霧が、あるだけだった。
「…心…どこ?…どこに居るの?!」
私は光に背を向け、霧に向かって歩きだした。


「…セラ頼む…目を…目を覚ましてくれ」