親方から聞いた話では、工事の仕事は、手伝いで来ているらしく本当はパチンコ屋さんが、本職らしい…。
「どうする?行くか?」
「ううん、いいよ」
私達は海へと向って歩きだしたが、なぜか二人の間に重い空気が流れた。
「なぁー聞いてもいいか?」
「何?」
「心って人…どんな人だ?」
「えっ?どんな人って……見た目は恐そうに見えるけど外見とは違って話すと、案外優しい人だった、それと…目が…目が淋しそうだった…」
私は初めて逢った時を思い出していた。
「……」
「直君?」
「何?…」
「何って…どうしたの?急に黙って?」
「…何でもないよ」
「そう?でも…」
「何でもないって!さっ!花火しよう!」
「…うん」
直君の態度が気になったが今は、一番気になっているのは、心さんの事だ。
私と直君は、月明かりに照らされながら浜辺で花火をした、お互い何だか他に気持ちが向いている様で、笑い方が、ぎこちなかった…。
花火は、あっと言う間に終わってしまい、帰り道二人とも沈黙のまま坂道を歩いていた。
坂道を登り着ると、直君が口を開いた。
「…セラ」
「何?」
「俺…頑張って医者になるよ!」
「うん、頑張って!」