「…居るよ…」


≪!?≫
寝ているはずのセラが、小さな声で言った。
「起きてたのか?」
「ううん、眠ってたよ」

セラは、ゆっくりと目を開けた。
「…一年後、五年後、十年後も私は、心の隣に居るから…」
天使は俺に向かって微笑んだ。
「あぁ、ずっと俺と居てくれ…」





湖に着くと、空は青紫色の夜空になろうとしていた。

「星が綺麗…」
「あぁ、真っ暗になったら今よりもっと綺麗に見えるよ」
「うん」
嬉しそうに返事をしたセラが愛しかった。




空が暗くなるまで、俺達は車の中でラジオを聞きながら待っていた。
ラジオをから、ゆっくりとしたピアノの音楽が流れだした時だった。
「あっ!」
突然セラが声をだした。
「どうした?!」
「もう少しボリュームあげて!」
「あっあぁ…」
俺は、ダイヤルを回しボリュームをあげた。
「この音楽、私好きなの…」
セラは目を閉じて言った。

「この音楽…」
俺は、セラが好きだと言った音楽に耳をすました。

「…この音楽は、悲しい音色だけど、またどこかで逢えるような音色をもっている…」
セラは、静かに言った。

「…なんて言う曲?」
「別れの曲…」