セラは山に囲まれ湖を見ながら流れ星を見たいと言った。




――高速を走る車の中から左に見える海を眺め、私の心が安らぎを感じていた。

≪このまま心とお腹の赤ちゃんと三人でずっと居たい……≫

私は、少し眩しい太陽に目をそらし、横顔の心の顔を見た。
「…どうした?」
「太陽が眩しいから、心の顔を見ていようと思って」

心は、クスっと笑った。
「こんな顔見ててもしょうがないだろ?それより少し休んでろ!着いたら起こしてやるから!」
心は、そう言って左手で私の手を握った。
「眠ったら勿体ない!」

「勿体ない?何が?」
「この時間が…」
「…平気だよ!時間はたっぷりあるだろ!」
ぎゅっと握る心の手が、私に安心感を与えた。

――セラの言葉が、本当は俺の心のどこかに有った……。
セラの手を握りながら、俺はセラがどこかに行ってしまわないように、手を握っていた。

どのくらいの間、セラの手を握りながら車を運転していただろうか……助手席に座るセラを見ると、セラは寝息をたてて寝ていた。

「…天使の寝顔」
俺は、車をPAに停めた。

眠るセラの顔に手を伸ばし頬に指を滑らせた。
「…ずっと傍に居てくれ」