「…この辺でいいの?」
お母さんは、ベビーベッドを私達の部屋に運んでくれた。
「うん!ありがとう!」
「…もう少しセラ達のベッドに、くっ付けた方がいいんじゃない?」
「…そうかなぁ?…」
「生まれて直ぐだから夜中何回も起こされるんだから!手の届くところにベッドが有った方がいいのよ!ねっ!」
「……あっ…」
そう言って、お母さんは私の返事を聞く前にベッドを動かし始めた。
そんなお母さんの生き生きとした姿を見て、私は嬉しくなった。
「お母さん?」
「何?」
「ありがとう…」
私の言葉を聞いて、お母さんの手が止まった。
「…ありがとうって…私の方が言う言葉よ…ありがとう!セラ!私の娘になってくれて…」
お母さんは、ポロッと涙を流して私を優しく抱きしめてくれた。
「…お母さん!大好きだよ!…」
「私もよ!セラ!…」




――昼飯の時間になると、最近誠がよく現場に来るようになった。
「…はぁーっ!…」
誠は、大きなため息をついた。
「何だよ?どうかしたか?!…」
俺は、箸を止め誠を見た。
「…俺も……結婚がしてぇーなぁ!…」
誠は、俺が左手に持つ弁当を見て言った。
「……何だよ?」