「ごめんね!」
セラは、両手を合わせた。

「あぁ」
「目を閉じて!渡したい物が有るの!」
「何だよ?!」
心は、一瞬驚いていたが恥ずかしそうに目を閉じた。
「何かドキドキすんなっ!」
「……もう、季節外れになるけど……」
≪……!?≫
セラの言葉と同時に首元にふわぁっと暖かさを感じた。
「いいよ」
俺は目を開けた。
「……これ…」
心は、首に掛けたマフラーを触った。
「作ったの私が…でもね大分時間が掛かっちゃって…不器用だから…」
「……セラが…」
マフラーからは、微かにセラの匂いがした。
「少しの間だけでも使って!」
「…ありがとう!!…嬉しいよ!本当に!…」
心の目が潤んでいた。
私は、心をそっと抱きしめた。
≪心…ごめんね…≫
俺は、セラに抱きしめられ体が宙に浮かんだように感じた。
「…大事にする!」
「うん…」
「…愛してる、セラ…」
「私も、愛してるよ心…」
俺は、セラにキスをした。


――セラにマフラーを貰ってから、俺は毎日マフラーをして仕事に出た。
不思議だった…マフラーを身に付けてから俺は、不安が消えた。



――三月になると、セラのお腹は急激に大きくなった。