呼び出し音が鳴る……。
俺は、小さくため息をついた。
(……はい)
「…直、俺だ…」
(あぁ…セラは?)
「今、部屋に居る…」
(そっかぁ…)
「セラの体…」
(あぁ…お腹が張っていたと言っていたが…本当にそうなのかは分からない…)
「…分からないって」
(…病院に来た時の顔色…血圧…それに…)
「それになんだ?」
(汗だよ)
「汗?」
(あぁ…脂汗が出て髪の毛も汗で濡れていた…お腹が張って来たわけじゃないと思うんだ…)
「………」
携帯電話を持つ手が震えていた…寒さのせいなのか…それとも…。
(おい?心!?聞いてるのか?!)
≪……!≫
「…あぁ、ごめん聞いてるよ…分かった…」




直の電話を切り、俺は夜空に煙草の煙を吹いた。
夜空は、月の灯りのせいなのか…明るく見え…三日月が俺の涙を見て微笑んでいるように感じた。

「…セラ」
≪お前の体で…何がおきてる…全てを俺に…≫
「…心」
≪!!≫
俺は、セラに見られないように涙を拭き振り向いた。
「どうした?」
振り向いた心の目は、潤んでいた。
≪…泣いたの…心…≫
「セラ?…」
「…いつまで外に居るのかなっと思って…」
「ごめん」