「………」
「…富豪な奴でも何か悩みがあったりして…毎日が幸せとは限っていない…幸せ…不幸せを、どんな人間でも繰り返していると思う…」
「………」
≪…繰り返し…≫
私は、心の言葉を何度も繰り返し胸の中で言った。

「…セラ?」
「…ごめん…そうかもね…泣いた分だけ幸せになれるんだよね…」
「泣いた分だけ?…」
「お母さんが、前に言ってたんだ…」
セラは、微笑んで言った。
「そうかもな…」
俺は、セラの肩を強く抱いた。



次の日、俺達は病院に行き松村先生と直に話をした。
「…セラちゃん…医者として今大事なのは、君の体なんだ!分かるよね?…」
「先生…私の気持ちは変わること無いって分かってるでしょう?…」
「………」
松村先生は、俺を見た。
「すみません…セラの気持ちを大事にしてやりたいんです!」
「………」
松村先生も直も黙ってうつ向いた。



「じゃー仕事に行ってくるな」
俺は、セラを家まで送り言った。
「うん、行ってらっしゃい」
セラは、いつものように微笑んで言った。
玄関で手を振るセラに俺は、手を振った。


私は自分の命よりも今、お腹の中の一つの小さな命を大切にしたい。