どのくらい俺達は、波の音を聞いていただろうか……。
「……心……」
「ん?」
私は、心の肩から頭を上げ心の顔を見ていった。
「…薬の事…私替えない…」
「セラ!!」
「だって!無事に生まれてきて欲しいもん!!…私が犠牲になってでも!この子には無事に……生まれて…ほしい…」
セラは大粒の涙を流し泣いた。
俺は、セラを抱きしめた。
「……分かった……分かったよ……お前の…セラの気持ちを受けとめる…」
「…心」
「だけど!…だけど死ぬな…俺を一人にしないでくれ…俺は、セラが居なきゃ駄目な男だから…一人にしないでくれ…」
≪…心≫
心は、私を抱きしめながら泣いた…私は、子どものように泣いている心を抱きしめた。
「…大丈夫だよ!…死なないよ…私は、生きるから…死んだりしない…一人にさせないから…」
「…セ…ラ…」
私達は、波の音を聴きながら抱きしめあった。


「…幸せな時間て…短いのかな…」
セラは、突然帰り道で言った。
「…何で?」
「…何となく!…ちょっと考えちゃった…」
「…繰り返しなのかもな…」
「えっ?」
「ずっと幸せな時間だったら、何が幸せなのか分からなくなるだろ?」