セラは、俺の顔を覗いた。
「…ごめん、ちょっと仕事の事考えてた…」
「無理して来なくてよかったのに…仕事に戻っていいよ」
セラは、俺に微笑んだ。
セラの笑顔を見て俺は、セラを愛しく…強く抱きしめた。
「…心?…」
突然、私を抱きしめた心にたいして私は、戸惑いを感じた。

診察室の部屋椅子に座り、俺は、セラを待った。
カーテンの向こうで、セラと先生の話し声が聞こえてきた。

「…元気だな!…」
松村先生は、エコーの画面を見て言った。
「良かった…」
「…ほらっ!見てみなさい…こんなに心臓が大きくなってきているよ!」
松村先生は、画面に映る赤ちゃんの心臓を見せてくれた。
「…心の赤ちゃん…」
私は、目が熱くなるのを感じた。
「…セラ…」
直君は、私の目尻から流れる涙を拭いてくれた。
「…ありがとう…」
「松村先生、彼も呼んでいいですか!?」
直君は、松村先生に言った。
≪直君…≫
「あぁ!呼びなさい」


――カーテンが、突然開いた。
「心、赤ちゃん元気だぞ!」
直は、微笑んで言った。
「そうか!」
「見てみろよ!」
「…あぁ…」
俺は、画面で始めて見る自分の子どもにたいし緊張していた。