――「…良かったな!セラと一緒になれて」
直は、コートの中に手を入れていった。
「お前のお陰だ!…あの日街で、お前が俺に声を掛けてくれなきゃ…今頃俺とセラは…」
「セラが悲しんでいるところは…もう見たくなかった…心と一緒に居たいはずなのに我慢して…」
「俺が悪かったんだ…直には、感謝してる…ありがとなっ!」
「必ず幸せにしてやってくれよ!でなきゃセラを奪うからな!」
直は、俺の肩に体でぶつかってきた。
「分かってるよ!…ところで…何か有ったか?」
俺は、直の顔を見た。
「…何かって何だよ?」
直は、俺と目を合わせず下を向いていた。
「セラの体の事だ…」
「………」
俺の問いかけに黙った直の腕を俺は、掴んだ。
「…何かあるなら言ってくれ!」
直は、ゆっくりと俺を見た。
「……最後に検査した結果が……余り良くないんだ…」
俺は、直の腕を離した。
「…セラの体の結果だよな…」
「…あぁ…セラ本人は、体調がいいと言ってるが…それがいつまで続くか……その内…体が思うように動かなくなる事が、多くなると思う…」
「それは、薬でか?…」
「いや…薬は、飲んでいるが飲んでいないようなものだ…」