お母さんは、優しい笑顔で言った。
「何作ってるの?」
私は、お鍋の中を覗いた。
「今日は、クリスマスでしょう!だから、シチューにお肉を焼こうかと思ってね!それに、お腹の赤ちゃんに栄養たっぷりの物を食べさせないと!」
お母さんは、張りきりながら言った。
「ありがとう…お母さん」
私は、お母さんの肩に頭を乗せた。



私は、ベッドに横になり眼を閉じた。
≪…お父さん…お腹の赤ちゃんを、どうか見守っていてください……無事に生まれてくるまで…お父さん、私に力を下さい…≫


私は、お母さんが作った料理を軽く食べて、夕陽が沈んだ海に向かって歩いた。

道路は、クリスマスだからか季節外れの渋滞だった。

駅前は、恋人達が肩を寄り添って歩いていた。

コンビニの前には、サンタクロースの格好をしてケーキを売っている。

私は、少しふっくらしてきた、お腹に両手で触った。
≪…メリークリスマス≫

海沿いの歩道を歩き進むと、直君が予約した店が見えてきた。
私は、腕時計を見た。
「遅刻だ!」
私は、お腹を支えながら早足でレストランに向かった。

レストランに入ると、レストランの中に大きなツリーが有った。