俺は、引っ越し先を聞いたが、知らないと言われ戸惑った…。
頭が混乱していた…昨日、セラは俺の目の前で優しく天使のように微笑んでいた…あれは…幻だったのか?…俺が、セラを想い過ぎ幻覚を…。
≪!!≫
俺は、首元のネックレスに手を掛けた。
「…渡した…」



――「…何で言わなかった…あいつに…」
直君は、レストランの窓から海を見つめ言った。
「………」
私は、何も答えられなかった。
「…あいつ…心だったら…きっとセラを幸せにしてくれる…何をそんなに臆病になってる?…」
「…臆病になんか…」
「なってるよ!…心から逃げてばっかりだ…俺とセラは、もう昔に戻った…俺にも他の人にも遠慮なんかしなくていいんだ…」
直君は、私の頭をポンっと叩いた。
「…違う…」
「何が?」
「…多少、直君に対して遠慮は、有ったのかもしれないけど……」
「けど?」
「…恐いの…」
「恐い?…何が?」
私は、ガラス越しに真っ暗な海を見つめた。
「…もしも…私が…死んだら…心は…」
(ドンッ!!)
≪!!≫
直君は、握り拳でテーブルを叩き、怖い顔で私を見た。
お店の中は、一瞬静まり返った。
「……直…君……」