心は、ロウソクに火を点けた。

「お願い事を一つ、心の中で…」
「願い事…」
心は目を閉じた。
「火…消して」
「あぁ」
心は、一気にロウソクの火を消した。
「お誕生日おめでとう…心」
「ありがとう…24回目の誕生日…一番嬉しい誕生日だ…」
心は、恥ずかしそうに微笑んだ。

「おめでとう…」

≪…赤ちゃん…今日は、あなたのパパの…お誕生日…一緒にお祝いしましょう…≫
私は、そっとお腹に手をあてた。

俺達は、ケーキを食べながら、いろんな話をした…。セラと過ごす時間は、安らぎの時間だった…。


「…家まで、送っていくよ」
「…ううん、ここで…」
セラは、公園のベンチから立ち上がって言った。
「…平気か?」
心は、私の顔を覗いた。
「平気よ!…坂道には慣れてるから…」
「…セラ?」
「ん?…」
「俺達…もう、離れる事は無いよな?」
セラの顔は、一瞬曇った。
「セラ?…離れないよな?」
「…うん…」
俺は、何だかセラが消えてしまうんじゃないかと、感じてしまい、セラの手を引っ張り抱きしめた。
≪…心…嘘を言って…ごめんなさい…心には…言えない…赤ちゃんの事は、言えないよ……ごめんね…≫