誠さんは、私の頭に手を置き笑った。
「…素直になれよ!…心、町を離れたのは、本当だ!でも仕事でなっ!帰ってきてるぞ!心…、今海に居る…」
「ここに!?」
私は、浜辺に目を向け、心を探した。
≪!!…心…≫
砂浜に座り海を眺める、心の姿を見つけた。

「…行ってこいよ!」
誠さんは、私の背中を押した。
「…でも…」
「あいつ…心、今日誕生日なんだ!」
「えっ?!誕生日!」
「あぁ…セラ、お前が祝ってやってくれ…それと心に言っといてくれ!俺は、急用が出来たって!じゃーなっ!」
誠さんは、私の背中を、もう一度押して帰ってしまった。
私は寂しげな、心の背中を少しの間、見つめていた。
≪…心…≫

私は、一歩一歩砂浜を歩き、心の元へ行った。

(ドックン…ドックン…)
心との距離が縮まると、静かに、ゆっくりと心臓の動きが早くなっていくのが、わかった。
海に反射する太陽の光が、目の前の、心を光で包んでいた。

静かな波の音が、私の乱れた心臓をゆっくりと落ち着かせてくれた。

「…………心…………」

私は、震える声で、心の名前を呼んだ。


――俺は、静かな波の音と一緒に、セラの声が聞こえた。