――「…んじゃー、後でな!」
「あぁ!」
誠は、俺の肩を叩き、仕事に戻った。
俺は、そのまま海を眺めていた。


――私は、歩道から海を眺め、階段を下りた。
冬の海の匂いは、潮がきつくなく、優しい匂いをしていた。
「…海…綺麗でしょう…」
私は、お腹に手を置き言った。
「…心…」

目に浮かぶ涙は、目の前の海を歪ませた。
「セラ?」
聞き覚えが、ある声に私は、振り向いた。
「…あっ!」
誠さんが立っていた。
「やっぱり!セラじゃん!久しぶり!」
誠さんは、そう言って私の元へ来た。
「お久しぶりです!」
「元気だったか!?」
「はい、なんとか…」
「アレッ?ちょっと太ったか?」
誠さんは、私の体をを見ていった。
≪!!≫
「いやだなぁ…コートを着てるから、そう見えるんですよ!」
私は、誤魔化した。
「そっかぁ…ところで、心とは…」
私は、誠さんの言葉に目をそらした。
「…元気にしていますか?…心…」
「…町を離れたんだ」
「えっ?!」
「辛いって…」
「………」
≪心…≫
「…気になるか?心の事?」
「それは…」
私は、顔を覗く誠さんに素直な気持ちを言えなかった。
(ポンッ!)