「…あぁ」
俺と誠は、しばらくの間、海を眺めていた。



――「…セラ!」
病院の廊下を歩いていると、後ろから名前を呼ばれた。
「直君!」
直君は、廊下を小走りで私の元へ駆け寄ってきた。
「どうした?!今日は診察だったか?」
「…ちょっと、お腹が張ってて…」
「えっ?!お腹!?痛むのか!?」
直君は、私のお腹に手をあてた。
「痛みはないわ!ただ気になって来ちゃっただけよ」
「本当か!?」
「うん、…ほらっ!直君仕事中でしょう!」
私は、直君の背中を叩いた。
「あぁ!んじゃー、後でな!」
直君は、右手を軽く上げ行った。
私と直君の関係は、昔に戻った。
松村先生に、直君は引き抜かれ、松村先生の元で働くことになった。
直君は松村先生に、私が妊娠していること…病気の事を全て知らされ、初めは反対されたが、私の意志が強い事を知り、直君は私を妹として、助けると言ってくれた。

「…先生?赤ちゃん…」
「大丈夫だよ、元気だ!寒いから、お腹は冷やさないように気をつけるんだよ!」
松村先生と婦人科の先生は、微笑んでいった。
「はい!」

私は、病院を出て、暖かい日差しに誘われ久しぶり海に向かった。