――12月4日――

「心!!」
後ろから、俺を抱きしめ耳元で、大声を出して来たのは、誠だった。
≪!!≫
「ビックリさせるな!!バカ!!耳元で、うるせぇーんだよっ!!」
(バヂッ!!)
俺は、誠の頭を叩いた。
「いってーなっ!!何すんだよ!!」
誠は、頭を擦りながら俺の隣に座った。
「痛いか?俺も、耳がいてぇーんだよ!」
俺は、タバコの煙を誠に向かってふいた。
「何だよ!せっかく心が、帰ってきたって親方から聞いたから、来たのによ!」
誠は、タバコに火を点け言った。
「そりゃーどーもっ!わざわざ来てくれて!ご苦労!」
俺は、ちょっと照れくさかった。
「でもよ!帰ってきて良かったよ!」
「帰ってくるに決まってるだろ!バカ!」
俺は、誠に笑っていった。
「…思わなかったよ」
誠は、ポツリと言った。
「えっ?」
「…だってよ、俺に何にも言わず行っただろ…」
誠は、砂浜にタバコを押し付け消した。
「…悪かったよ…急だったから」
「親方が、言ってたんだ…心は、こっちに戻ってくるか分からないって…」
「あの時は、ここに居るのが辛かった…だから親方に頼んで、地方の仕事にしたんだ…」
「…そっか」