「お前は、本当にいい娘だった…なんのワガママも言わず、仕事も手伝ってくれた…足を無くしてからも、俺やお母さんの前で泣き言ひとつも言わず…」
「おじちゃん!やだなぁー、そんな事言われると恥ずかしいじゃない!」
私は、おじちゃんの手をポンポンと叩いた。
「…聞いてくれ…」
おじちゃんは、目を閉じて言った。
おばちゃんは、剥きかけのミカンを両手に包み、おじちゃんを見た。
「…足を無くしたセラを、世界で一番幸せな花嫁にしようと、心に決めた…セラが心君と別れ、直ならセラを幸せにしてくれる…セラも幸せになれると信じていたが、違った…ごめんなセラ…苦しませて…でも、もう何も迷うことはない…お腹に居る、心君とセラの子を大事に、二人で育てていきなさい…セラには無かった本当の家族をつくりなさい…分かったね?」
おじちゃんは、私の手を強く握った。
「…私には……本当の……家族……だよ……お母さんが……居て…お父さんが……居る……おじちゃんとおばちゃんは……私の大事な……お父さんお母さん……だよ!……」
私は、涙を流し声を震わせ言った。
「…セラ」
おばちゃんは、私の肩を抱きしめ、おじちゃんの手を握った。