仕事場に戻る帰り道、考えていた。
俺は自分でも分からないが、なぜ?あの時、あの女の名前を口に出したのだろう…。
《…セラ………セラ》



私は、坂を下り歩いていく心さんの後ろ姿を見ていた。
《……心…さん………》
「何してんの?」
「わぁっ!!」
後ろを振り向くと直君が立っていた。
「ビックリした!脅かさないでよ!!心臓止まるかと思ったよ!!」
私は胸に手を当て言った。
「ごめん、ごめん!で?どうした?」
「どうしたって何が?!」
「だって坂道見てボーッとしてるから何か有った?」
「別に何も!」
私は家に向って歩きだした。
「へぇー…何もねぇー…」
「何よ!その言い方?!それより、直君何してるのよ?」
「部屋の窓開けたら、セラが見えたから」
「それで、わざわざ出で来たの?」
「暇だったし」
私の隣で歩く直君は、笑顔で言った。
「相当暇してるんだね!」
「まぁーね!どっか行ってたのか?」
「うん、ちょっとコンビニに…」
「コンビニ?何も持ってないじゃん?!」
「コンビニで絡まれて…」
「絡まれたのか!!」
直君は、私の左肩を引いた。
「うん、でも助けてくれた人が居て平気だった!」