「……心(こころ)が……死んだ……」
私の手首を握りしめていた直君の手が離れた。
「……ごめ………な……さい……」
私は、砂浜にしゃがんだ。
「…いつも……心(こころ)の中に居たのは、心だった……そうゆうことだな……」
「…………」
私は、ゆっくりと頷いた。
「…俺は、セラがいなきゃ……」
「……ごめん………なさい」
直君は、膝から崩れた。
「…行くんだろ……あいつの元に…」
「行かない!…私は、これからは、一人で生きていく……」
「…嘘つくな…」
「嘘じゃない!私は!…」
「別れない!!」
「…直君!」
「いままで、俺を騙してきて、また騙そうとしているんだろ!?」
「違う!私は、誰の元へは行かないわ!!」
「苦しめばいい…俺の元で苦しめ…」
直君は、立ち上がった。
「直君…」
私は、下から直君を見上げた。
「セラの心(こころ)が、死んでいるなら、苦しみも分からないか……俺が、この目で見てやるよ!セラの心(こころ)を!…俺から、離れることも逃げることも許さない!」
「………」
私は、立ち上がり直君に背を向け歩きだした。
「…とまれ…」
《……ごめんなさい》
「………」
「…セラー!とまれー!」