「…寒くなったな」
「…うん…」
私達は、砂浜をゆっくりと歩いていた。
「月!あぁー…今日は満月か…」
直君は、両手は夜空に伸ばし言った。
「…直君…」
私は、立ち止まり直君の背中を見た。
「何?」
直君は、振り返った。
「…………」
「…どうした?なんか今日、変だぞ?…」
直君は、私の前まで来て、私の顔を下から覗いた。
「セラ?…」
「……ってほしい……」

「えっ?何?ハッキリ言えよ」

直君は、笑顔で私の顔を見た。
「…別れ…て……ほしいの…」
直君の顔から、笑顔が消えた。
「今…なんて…言った?…」
私は、顔を上げ直君の目を見た。
「…私と別れてほしいの…」
「どうして急に……」
「私は、直君と結婚出来ない……今更こんなこと言って、直君を傷つけてしまうことも、本当に悪いと思ってる!私…もう…自分に嘘をつくのが嫌で…」
「心のところに行くのか!!」
「…いかない…いけない…直君を傷つけて、心の所にはいけない…」
「なら、なんで!!」
「…私の、心(こころ)は死んでるの…直君を好きになろう!愛していこうって頑張った…けど、心と別れてから私の心(こころ)が、死んでしまった…」