私は、海に来ていた。
肌寒くなった海には、秋風が吹いていた。
砂浜には、海の家の姿は無く……広々としていた。
「……私は、あなたを産む……私が、守ってあげるから……安心して………ここは、あなたのパパと出会った場所……あなたは私の希望の命よ…」
私は海をみつめ、お腹に手をあて、赤ちゃんに誓った。

「ただいま…」
おばちゃんの部屋に入ると、おばちゃんは寝ていた。
「…ゆっくり休んで」
私は、眠っている、おばちゃんに向かって小さな声で呟き、毛布を掛け直した。
「…セラ?…」
部屋を出ようとした時、おばちゃんは、私の名前を呼んだ。
「ごめん!起こしちゃった?」
「ううん…お父さんどうだった?」
「うん…いつもと変わらない笑顔だった……直君とも、別れてもいいって……」
「…そう…お父さんね…セラに悪い事をしたって、酔っ払って泣いて……セラの人生なのにって…ごめんねセラ…お父さんを許してあげてね……」
おばちゃんは、涙を流し私の手を握った……手が冷たかった。
「私は感謝してるよ……おじさんにも、おばちゃんにも…」
「セラ…」
私は、おばちゃんに笑顔をみせた。
「…う"っ…」
私は口に手をあてた。